北のフィールドノート

snowmelt.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2018年 08月 01日

40年後・百年後のむつ湾ホタテの生産を占う

2058年あたりの陸奥湾ホタテ生産はどうなるか     下北自然学巣 大八木 昭
e0039759_17225491.jpg

2008年--2018年の生産高だ。
少ない年で3-5万トン、多い年で8-11万トンだろうか。

2007年青森県水産総合研究センター増養殖研究所だより第108号に「陸奥湾ホタテガイ養殖産業を憂う」という水産局長の寄稿がある。
e0039759_10261829.jpg

陸奥湾ホタテガイは植物プランクトンを食べる。陸奥湾に流れ込む栄養塩類によって育つ植物プランクトンの量は限りがあり、当然ホタテの増養殖は植物プランクトン量(第1次生産量)に依存するため限度がある。
「この飼料となる植物プランクトンが潮流とともに陸奥湾の中を流動的に動き回るので、潮上の各地先で天然資源であるプランクトンを先取りしながら消費することとなることから、陸奥湾全体の問題である。」
「陸奥湾全体での適正許容量は、13億6千万個体と考えられているが、(2007年)現状の養殖数量は19~20億個に達しているものと推定されており、許容量の1.4倍から1.5倍のホタテガイが海の中に存在し、誰もそれを公然と非難することが出来ないでいる。」
e0039759_18464948.jpg


もしも陸奥湾内に風力発電風車が2000基ぐらいできたことを想定しよう。
水深30メートルの海底から水上120-140㍍くらいの風力発電風車タワーを考えよう。
タワーの水中径を半径5㍍として2×5×3.14×30=942㎡の水中表面積のものを300㍍ぐらい距離を置いて2000基とすれば、総タワーの水中総面積は1884000㎡である。これはむつ市の克雪ドームの105.9個分にあたる。
克雪ドーム100個分の固着生物の生息場所が並ぶことである。ムラサキイガイは真っ先に繁殖することだろう。ムール貝の類いが増えることは良いことでないかと云う人がでてこようが、いま考えるのはホタテガイの増養殖である。(ちなみにムール貝のドーモイ酸という貝毒で食中毒・下痢のほかに1/4が記憶喪失?というカナダの報告がある。記憶喪失?へぇー)
つまり植物プランクトンを食う固着貝類などが増殖する。潮流は変わる。風のエネルギーを獲られた風車の下手は、速くなることはない。当然、潮流の下手のホタテガイには飼料が届かないことになる。影響は陸奥湾全体におよぶ。エサの不足による許容限度は下がりこそすれ、上がることはない。
2007年でさえ許容限度を1.4-1.5倍超えているうえに、陸奥湾内の限られた植物プランクトンをホタテ以外の固着生物がさらに先取りしてしまえば陸奥湾ホタテガイの増養殖量は減ることはあっても増えることはあり得ない。
2058年孫の時代に、青森県陸奥湾ホタテガイ養殖産業はどうなっているのだろう。漁業者は生き残れるか。陸奥湾内の漁業はどうなっているのか。百年後にはホタテ養殖は残っていないと予言しよう。

ちなみに、2018年現在、青森県は風力発電事業者の設置許可要請に関して、環境影響評価を行っているが、漁業に与える影響は考えてはいけない、対象外の項目である。
陸奥湾内にタワーを建てる場合、いくらの容積のもの、体積のものを突き立てようが、驚くことに、環境改変部とは、タワーの底面積だけを考慮すればいいとある。表面積克雪ドーム100個分という計算は全く除外され、タワーの底面積のみを考えればいいとおし通している。
さらに漁業に与える影響は青森県庁のどの部署でも影響評価することはない。
つまり、漁業権のおよぶ地域内外に風力発電タワーを何千本建てても、希少生物や特別天然記念物や騒音や景観などに特段の影響がなければ、青森県はタワー設置を許可容認すると経産省に報告することになる。経産省はそれをもとに、漁業の事など考えることはなく、経産大臣が設置許可することになる。

であるから、百年後には、ホタテ養殖はなくなり、別種の養殖が縮小されて行われているか、植物プランクトン生産者を飼料としない、エサを別の業者から買ってきて育てる高次消費生物種の養殖になっているか。2017年現在、100億円の青森県のホタテ産業は消滅して、別な産業が興っていると予言しよう。ホタテは北海道産を食べればいい か。


by snowmelt | 2018-08-01 18:53 | Comments(0)


<< 青森自然誌研究会 ホームページ...      百田尚樹が書く期待の歴史本(後... >>