北のフィールドノート

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2017年 09月 22日

淡水魚山渓谷ポケットガイド17・図鑑のすべてを信じている人へ、特に子供へ

                                               下北自然学巣 大八木 昭

一般人は一応、科学の教科書や図鑑は、ほぼそれほどの間違いはないだろうという目で見ているだろう。

まだ、不明であると書かれていればそれは正しい事のほうが多い。

わかってもいないことをわかったように書いているのがはなはだ毒害になる。

それを読んだ子供や、大人が間違いでもなんでもそれを信じてしまうからだ。

ここに

「ヤマケイポケツトガイド⑰淡水魚 森文俊、内山りゅう、山崎浩二 山と渓谷社」

の間違いではないかとの意見をのべたい。子供達に誤解させる情報を与えないようにしていただきたいことを願う。

ブラキストン線は絶対だという考えの人も居るかと思うが。

「ヤマケイポケツトガイド⑰淡水魚 森文俊、内山りゅう、山崎浩二 山と渓谷社」2003年4月10日2版第2刷発行の129ページ

『エゾホトケ 北海道に分布するホトケドジョウの仲間。①移植により青森県にも定着しているが、ホトケドジョウとの交雑が心配されている』
 
この時点で、これについての①についての意見のひとつめ、ほかの図鑑では「自然分布なのか人為移入なのか不明である」というのが普通なものである。 なぜなら不明だったのだから。

青森県では移植があったとの報文もあるが---なら良いでしょうが、断定したのはよくはないでしょう。

そして、ふたつめ、さらに続けて「ホトケドジョウとの交雑が心配されている」部分はよく判らない。

その前の128ページのホトケドジョウの文にはなんと書いてあるか「①分布 本州(青森県を除く・・・・)」と書いてあるのでエゾホトケは青森県北部で止まっているしホトケドジョウは山脈があり岩手県を出ることはできていない、それをなんで交雑が心配されているというのか。はてはて、そうか、隣県なので山を越えて、簡単にまた人為移入される可能性を考えたのですね。納得しました。

ところで、この9月にブラキストン線を越えた淡水魚としての論文がやっと認められました。


おかげさまで今回、記事に出しましたが、日本魚類学会の Ichthyological Research の電子版にやっとでました。
Phylogeography of the eight-barbel loach Lefua nikkonis(Cypriniformis:Nemacheilidae):how important were straits in northern Japan as biogeographical barriers?エゾホトケドジョウの系統地理:北日本の海峡は生物地理学的障壁としてどの程度重要か?
青森県のエゾホトケドジョウは在来集団です。「自然分布なのか人為移入なのか不明である」といわれつづけてきたことを2017年9月で「本州のエゾホトケドジョウは自然分布である。」と遺伝子を解析した結果の科学論が認められたということなのです。
((追記2018年12月、ノーベル賞受賞の本庶佑先生はネイチャーの論文でさえその9割は、消えていく(ウソである)ものとの記者会見がありましたが、これも消えていく運命をたどるでしょうね))

青森県のレッドデータブック2010年改訂版までは「青森県のエゾホトケは北海道岩見沢から移植によるという論文、(これは聞き取りという推論だけのもの)もあるので」「国内移入種は除外する」という方針なのでレッドデータ種には入れないと判断して青森県のRDB種にも上げられず、そうしているうちに消えていった場所もあるのですが。今、青森県では県RDBの改訂作業がすすんでいます。 国内移入種だからダメ、ダメダメとはね除けられてきたけれど、今度ばかりはそうは行かないのではないでしょうかね。しかし疑問ですねそうするかどうかは。(追記、2018年になってエゾホトケを青森県のRDBに追加すると決められました。)

なんにしろ、間違ったことをただしていくのが必要だと思うのであります。でも、人間は間違ってばかり、他人も自分も、間違ってばかりでしょうね。反省します。                                    
                                                  

by snowmelt | 2017-09-22 17:21 | 淡水魚類 | Comments(0)


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