2016年 03月 18日
------------ 下北自然学巣 大八木 昭 青森県人は国策と言う言葉に弱い。お上のいうことに従順な県民だと思う。 さらに、一企業の事業でも、風力発電事業といえばこれも国が進める事業のひとつとして見てしまっているようだ。 一株式会社が津軽十三湖のそばに風力発電機を並べ立てる計画がある。 水土里ネット十三湖 という土地改良区のホームページにその内容がある。リンクをはるのもここは著作権法に触れるかもしれないものなのでリンクしてません。事業者が一時期間を定めて公開した調査内容が著作権法に触れるからというのだからです(追記)。 「津軽十三湖風力発電事業 環境影響調査評価書」縦覧(PDF) (縦覧期間 平成27年10月13日 ~ 11月13日) 期間限定で公開されている。 このPDFを開くには私のPCでは、かなり時間がかかった。 公開されている間に、大事なところを撮っておかないとわからなくなるので何ページか撮っておいたのでそれを使って説明しょう。 鳥の移動経路についての調査結果とそこから予測されるという表 主にガン類ハクチョウ類などが降りたり飛んだ図表は である。赤い丸が風力発電機の設置予定点である。 これに対しての予測評価表はひとつはこうである。 これをあなたはどう考えますか。納得しますか。 バードストライクの例を載せます オオタカ幼鳥でしょう。 環境省が定めた絶滅の危惧がある種をひろいあげたレッドリストの中で 絶滅危惧ⅠB類(EN)というのが31種あります。イヌワシやライチョウやハハジマメグロなど極めて数の減ってきている種類をあげているのですが、そのなかにオオセッカがあります。 絶滅危惧Ⅱ類(VU)にタンチョウ、クマゲラ、オジロワシといったものがありますがその中にコジュリンがあります。 このオオセッカ、コジュリンがともに、この十三湖風力発電事業区域にいるのですよ。 見て下さい、この多さ。 これに対する評価表はこうです 改変による生息地の減少・喪失表 です。 まず予測の誤りを指摘します。 オオセッカもコジュリンも「本種が生息環境として好む、まとまったヨシ原は」という文言は誤りで捏造です。二種とも、まとまったヨシ原に巣は作れないのです。 まとまったヨシ原というのは水が充分あるということを示しています。二種が好むのは草湿地であって、まとまったヨシ原では営巣繁殖はしません。 オオセッカは地面をよく移動して地上性のクモなどを捕食し、巣も地面すれすれか十㎝くらい上に作ります。 コジュリンは地面上に巣を作ります。 まとまったヨシ原にはどちらも巣を作りません。まとまったヨシ原では繁殖できないのです。 それを、この予測評価表では、分からない人を騙そうとしているとしか思えません。 騒音による餌資源への影響表は でありますが、餌資源の影響を書いて、鳥そのものに対する影響は評価できないのでしょうね。 餌資源としてのクモに対しての影響は? 移動経路の遮断阻害では だが 飛翔ディスプレイをし、地面のあるところで営巣繁殖する種の、ほぼ真ん中に、100メートルも高さのある風車構造物を二直線に並べて、これで、正常な繁殖行動ができると言えるのでしょうかね。 ブレードタワーの接近接触表では となっている。 オオセッカやコジュリンを分けずに、五種を一派一絡げにしているところだろう。ずるさが見え見えと考えます。『とまり場となる電線路は』と書いていること自体、五種に対してでないことを分かる人は経産省にはいるのかな。セグロセキレイは電線にとまることはあっても、オオセッカ、セッカ、コジュリン、オオジュリンはこの地ではとまることはあり得ないのです。ことさら五種への影響欄に書くことはこれも、誘導記述。 経産省は予測評価表を科学的に正しくないことは分からないでしょうね。カネしか考えないでしょうね。 環境省はどうだろうかね。 青森県としては、その計画はダメだとは言えないのでしょうね。 カネが大事ですね。 環境省が絶滅危惧ⅠB類とⅡ類のオオセッカ、コジュリンをただリストにあげただけで、それを絶滅から食い止めようという意志がなければ、 もしも、青森の太平洋岸に7メートルを越える津波が起こり、小川原湖のそばの海からほぼ1キロメートルの仏沼(標高1メートル)まで押し寄せ、壊滅すれば、東日本のオオセッカとコジュリンのほとんどは消えてしまいます。 秋田の大潟村(昔の八郎潟周辺)のオオセッカは干拓で滅んだし、 津軽の十三湖にすこし、つづく屏風山湿地帯にほんのすこしだけ残されたオオセッカとコジュリンをさらに風力発電さまさまで繁殖地をなくしてしまえば、絶滅危惧がほんとの絶滅となってしまうことを 環境省はなんとか真剣に考えてほしいのだが、なんとかしてほしいな。 渡り鳥の通り道も大事だが、 繁殖する土地をあたえないということがすなわち絶滅に直結するということをなぜ重要視しないのだろうか。 なんで残された岩木川河口河川敷というオオセッカとコジュリンの繁殖地 言い方を変えれば、 ライチョウとクマゲラの繁殖地に、わざわざねらって風力発電機を並べたてるのか、別の場所にしてくれよと言いたい。 青森県からの意見は法律上(環境影響評価規則施行前の事業計画だから)、正式には言えない。(参考意見としてしか扱われない) 経産省はカネしか考えないかもしれないが、環境省は、『設置場所は不適当である』と言って当たり前だろうがと思うが、なぜ渡り鳥のバードストライクしか言わないのか、環境省もまた金なのか、そうだろうけど。 すこしは信じられる環境省になってほしいな。 ただ経産省のやることに口出しはできるでしょうかね。 追記 2015.11.5 ここまできて何故「青森県人は良識があるのか」というタイトルにしたのだろうか。 無意識だったがこれは考えて見るとこういうことが私の根底にあるのだろう。 日本人はいまの中国を脅威とか悪くいうが、そしてそれは全く同感だが、 日本人も同じようなことをしている部分があるのではないかということよ。 南沙諸島を埋め立て、3000メートルの滑走路を作り、軍事基地を置き、中国の領土とし、領海領空を通させない。 中国共産党にとっては核心的利益に基づきなんら恥じるところはなく、国益を大きくするだけである。 なにが悪いのだこれが中国の考えだという論理しかない。 尖閣をとったなら、つぎは、沖縄はもともと中国だったのだからそこも中国のものにする。 太平洋の西半分までは中国のものであるという論理である。それを100年の単位でゆっくりと成し遂げようとする。 このことが、津軽屏風山十三湖地域の開発と自然生物環境の変遷に全くオーバーラップしてしまうのである。 1975年 環境庁(当時)から特定鳥類調査というのが出版された。(評価書の参考文献に是非とも入れるべきものであるが、故意かなにかは分からないが、参考文献に載せていない、判断材料を伏せているとみられる。) 全国でオオセッカは青森県の・A高瀬川河口部、秋田県の・C八郎潟干拓地、153pに青森県の・B岩木川河川敷にいるが人為的に「開発等の影響で、このままでは保存の可能性が薄い。」と示している。 P166の写真には青森県・B岩木川河川敷の「構造改善事業で整備されアシ原は消えてゆく(岩木川流域)」とのキャプションがある。 2015年のいまAの高瀬川河口部そのものには見当たらないが、近くの仏沼干拓地にいることがわかりラムサール条約の指定地にもなって毎年見られる。 が、C八郎潟干拓地は大潟村と名を改め、もはやいない。 B岩木川河川敷は土地改良区が担当し、三角州的なところを水を止め水田に区分けした。さらに十三湖をつぶすように新埋め立てをし水田をひろげた。 このときに、三角州にいたオオセッカは一時期全部追い出されたか死んだかした。 当時のオオセッカはいまの難民と同じである。 ところが、三角州的なところは水田に適さなかったのか、耕作放棄されてきた。 そこに、かろうじて生き延びていたオオセッカがすこし営巣地にもどりつつあるという状況なのだ。 コジュリンにしても同様だ。水田放棄したところにもどって来つつあるのだ。 アシ原を潰して追い出し、殺して、こんどは水田を放棄して、やや昔の湿地にもどってきて帰ってきたオオセッカ、コジュリンがみられるのに、そのまっただ中に100メートルもの高さの風車をずらり2列に並べて、またも繁殖不可能にしようとしている。 1975年学習研究社から『「この鳥を守ろう」それが人の命をまもる』というのが出版された。 (発行 霞会館 編集 山階鳥類研究所) (これも評価書の参考文献に入れるべきものであるが、故意かなにかは分からないが、参考文献に載せていない、判断材料を伏せているとみられる。) 『総論 その中には『なぜ鳥を大切にしなければならないのでしょう』は山階芳麿 自らが書かれている。 各論でオオセッカについては『保護上の問題点 特殊鳥類には指定されていますが、その生息地と共に天然記念物に指定されることが望まれます。とくに繁殖地である低湿草原は機械力が増大した現在は、開拓されるおそれが多分にあります。』とあり、 コジュリンについては『日本列島特産亜種ですから、その生息地を保存して減らないようにしなければなりません。やはり1~2ヶ所は天然記念物にして環境を変えないようにしてやる必要があります。』と書かれている。 天然記念物という考え方は個人的に嫌いだが、天然記念物級のものが二種も居るという十三湖風力発電事業区域の中の風力発電設置をすんなりと、経産省はみとめるのでしょうね。 お互い他省庁がいうことには聞く耳持たんでしょうかね。利権でからめとられているだろうから。 環境省が事業に対してなにか意見をいうか、どういう意見をいうか。はなはだ疑問だね。湿地と利権はむすびつきそうもないから。 下北半島の洋上風力発電については、以前の新聞記事のように『青森県の下北半島には多数の風力発電施設が設置されているため、同半島南部の現場周辺は小川原湖湖沼群などに飛来する渡り鳥の数少ない通り道になっている。意見書では風車設置により渡り鳥の移動経路がなくなる懸念があると指摘』としている。 でも馬耳東風になるだろう。 津軽十三湖風力発電事業評価書の渡り鳥に対する配慮はまるでばかばかしい。 渡り鳥の通り道に二列に直線的に配置したからぶっからないだろうという論理は人間が想像しただけのことだろうが。 全くいまの中国共産党とかわりないじゃないですか。自分たちの利益のためにはどうでもやると。 タイトルにつけたのは、昔からお上のいいなりを受け入れてきた、青森人に良識はあるんかいなという気持ちが私の根底にあったのだろう。 以下・再追記 2015.11.6 私の考えを書こうと決めた。 岩木川河川敷と元三角州と埋め立て地をオオセッカ、コジュリン、チュウヒ、帰ってくるか分からないがオオヨシゴイたちの繁殖地に返還地域・湿地生物たちのサンクチュアリにしないかと提案する。 北の縄文文化を登録しようという運動が起こっていて良いことだと思っているが、観光ビジネスがバックにあるからとの複雑さも感じられる。 これと、同列ではないが、日本で現在繁殖地としては青森県をおいてはない、オオッカ、コジュリンや、うまくいけばオオヨシゴイ、サンカノゴイを含む湿地性鳥類の繁殖できる地域をこの岩木川河川敷・元三角州を返してやるというプロジェクトをつくる価値がないとはいえないのではないか。 農地を転用できなかったのが、発電事業に転用を認めるようになったようだが、サンクチュアリに転用できるかどうかは分からない。 しかし、津軽屏風山の湿地帯を潰し、乾燥させ、あるいはスイカ畑だったところを水田にしたり、ベンセ沼、平滝沼辺縁にいたオオセッカ、コジュリンの姿をほとんど消し去ったのだから、せめて少しばかり残った岩木川河川敷元三角州を生物たちに返還してやるということは青森県はやってもいいのではないか。 屏風山地域の高層湿原と呼ばれたところコケヤチ沼など、いまは乾燥して見る影もないが、この水底だったところからは縄文時代の稲の花粉がでてきて、稲作がここにもあったのではないかとされている。 ほぼ40年前、もと木造村の水田農家の人から聞いたが、その人はオオセッカのオスの生態と姿は知っていて、『ああ、谷地雀(ヤチスズメ)か、そこらに居たよ。』というふうにヤチスズメという言葉で呼んでいたということは、谷地(湿地帯)では普通にみられたことの証である。 縄文の時代から谷地にはヤチスズメがおり、稲作のとなりに共存していたのだから、縄文文化を登録しようという運動をおこしている、青森県ならば、自然と共生してきたというしるしに岩木川湿地サンクチュアリを計画してもいいのではないか。秋から春までは水鳥や猛禽が訪れるという格好の地域だろうが。 風力発電器を立ててもらって、固定資産税をもらって、電気は地元では使うこともなく、低周波被害がでるか出ないかは人が近くにいないから分からないが、十三湖からお岩木山をみるときには100メートルもの風車がずらりと並び、景観をそこね、こんなことより、低湿地サンクチュアリを創造し残したほうが(ただ手は入れなければなりません。やや高低さをつけ、定期的に刈り取りをするなりし、乾燥部や湿地部のわずかな変化をもたせるなどの手を入れる。渡り鳥のために飼料米を適宜栽培するとかすれば将来的にもここを中継採餌ばとするでしょう)なんぼ未来のためになることかと私は考えるのです。 しかししかし、結果はこうなってしまいました2017.4.28
by snowmelt
| 2016-03-18 01:40
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